2024年11月2日土曜日

塩田千春展 中之島美術館

浅学にて、塩田千春を知らなかったが、知人が観に行きたいというので、一緒に行った。 最初は、立体の造形作家かと思ったが、実際にはパフォーマーに近いかなと思う。 最初に感じたのは、先天的な造形力のセンスの良さだった。  会場最初にあった大きな展示室を飾る蜘蛛の巣のような広がりの造形物は、素人目にどのような結び方、どのような固定の仕方、満遍なくテンションがとれた張り具合など確認している内に、建築家的な資質の人かなと思ったが、 職人さんや助手の手助けがあると思うが、とても洗練された造形物のように思う。舞台美術などを作る時に、合理的な工程を見つけたのだと思う。
初期のややアカデミック的なところから順番に観ていったが、エナメル(油絵具?)を全身に塗ってのパフォーマーは恐ろし過ぎるが、それだけ迫力はある。
20歳代の骨のオブジェは、ドイツでの生活から発想を得たものかと思うが、気持ち悪さみたいなものはあるが、豊かな才能の萌芽みたいなものを感じられる。
展示室に作者の生い立ちや作品紹介のインタビュー(ドキュメンタリー)みたいなビデオが15分ほどあってじっくり観ていたが、天才肌だと感じた。
現代美術でも、構図や技巧、知能、知識など頭で逡巡しながら描かれた作品があるが、どうしてもそれが吉にも凶にも出て、観ていてしんどい時・感心はするが感動しない時がある。塩田千春の作品にはそれが無い、気の向くままに創作しているが、伸び伸びしていてコスモポリタン(日本の風土を感じさせない)なイメージが強いので、海外にも受け入れやすいのではないかと思う。
最近の作者が癌にかかってからの、人体や内臓(がん細胞?)のオブジェなどを多数作っているが、「癌にうなされた夜の夢」のイメージの造形物は死神と思わせるほど不気味なものだが、そういったものがサラッと創れるのが単純にすごいなと思う。

掘り出しモノ満点の充実した個展であった。

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