2025年2月13日木曜日

三島由紀夫生誕100年展

 駒場の日本近代文学館で、「三島由紀夫生誕100周年」の展覧会に行ってきた。



こじんまりした会場だが、土曜日の昼下がりで、そこそこ観客が入っていたように思う。

10代後半から30代後半にかけて、三島由紀夫の小説や随筆をたくさん読んでいたが、今回は入場料が安い(300円)のもあって、淡々とした展示物群であった。

小説家の展覧会の場合、どうしても自筆の原稿や愛用していたグッズ(今回は盾の会の訓練に参加した時の靴や制服、帽子などが展示されていた)が展示されていたが、映画化された作品もたくさんあるので、それのフィルモグラフィーみたいなのもあれば良かったのに思ったが、今回は「憂国」だけだった。(「潮騒」や「からっ風野郎」、」「午後の曳航」他にもたくさんあるはずだ)

特に豊饒の海の「天人五衰」の最後の「それも心々ですさかい」のセリフを読んで凄い空虚感を覚えたと同時に、三島が最後まで役者として演じきった印象を受けた。

横尾忠則の椿説弓張月のポスターを観ながら、60年代の熱気みたいな片鱗が感じられ、半世紀も前の事なので、大分浄化されていったのか、茶色く退色した原稿用紙を見てそう思った。

ちょっと物足りない感があり、図録も無いとの事で仕方がなかったが(入門本を読めば事足りるが)まあ、アットホームな展覧会だったように思う。

著名?な評論家なのか、学校の先生なのか、誰かわからないがずっと会場で皆に聞こえるような声で(他の人は静かに観ているのに)自説をずっと喋っている人がいて耳障りだった。

館内の職員との会話なのかも知れないが、別室でやればよいと思う。

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