京都国立近代美術館に「上野リチ」回顧展を観に行く。
世界初の包括的回顧展との事だが、ネットでこの事を知るまで、どのような方なのか全然知らなかった。
ただ生きていた時代が、ウイーン工房から戦前に日本に渡り、満州や終戦を体験しているというのは、ベルトリッチが「ラストエンペラー」で描いていた時代と場所は違うが、同じような年代だと思う。
初期のウイーン工房の作品が当時の時代の空気を包み込んでいて、懐かしさと斬新さを感じる。タイポグラフィーも当時の最先端なもので今での十分モダンである。
やがて、日本に来て満州への旅の絵巻物は、戦時中ではあるが屈託のない風景や人物が描写されている。ただ作品の製作年が1944年など戦争が過酷になるにつれ、デザインのバックの色が黒を基調にしたものになったりして、当時の世相を感じさせるものがある。
ちょうど、1930年代に夫がブルーノ・タウトを日本に招聘に尽力したとのことなのであった。
4階の常設展に展示してあった、アレッシー社のポットやカトラリーの源流は、ウイーン工房であるという念が強くなった。