緊急事態宣言が関西では28日に終息しそうなので、久しぶりに京都の美術館をハシゴする。
京都国立近代美術館で「分離派建築会100年 建築は芸術か?」と京都文化博物館で「羅生門展」を観に行った。
分離派の方は、世紀末からWW1以降の西欧の建築(主にバウハウスや、ウイーンのゼセッション、ロシアの構成主義)の影響を受けたものが並んであるが、文献の資料が大量に出ていた。一時期19世紀からの世界の万国博の建築に興味があり、文献を漁ったことがあるが、日本の博覧会の資料が多少並べてあり、当時の雰囲気が感じられた。
建築の模型がもう少し多かったら理解しやすいかなと思うが、日本には無いのだろうな。
かなり偏った展示だが、普段余り接する事のない無い内容だったので、まあ良かった。
以前にウイーン世紀末の展覧会ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道 (artexhibition.jp)に行った時は、オットーワーグナーの精緻な建築模型が沢山出ていたので、文化水準の格差を強く感じてしまう。
4階の常設展もまあまあ、以前来た時に現代美術をやっていた時は面白かった。収蔵品中心になるから、展示品が限られてくるんだろうな。
80年代は、大阪から電車を乗り継いで京都府立病院前のバス停で降りて、博物館の中でフィルムの上映会に通っていた。家に未だパンフレットが有るが、黒澤の「野良犬」や「生き物の記録」溝口の「祇園の姉妹」成瀬の「浮雲」etcを鑑賞したが、今回はどんな体験が出来るか楽しみだった。(その頃は、京一会館も健在で2本立てで寺山や溝口をよく観に行った)
新しい文化博物館は初めて行ったが、河原町から結構離れているのに、思いのほか人々が行き交っていた。同じ施設の本館で「木梨憲武展」をやって一瞬観ようかと思ったが、ポスターにあまりインスピレーションが感じられなかったのでやめにする。
「羅生門」は、黒澤の作品の中でもそんなに好きな作品ではないが、やはり琴線に響くものがある。検非違使の庭のモダンな構図や、霊媒師の登場、脚本の斬新さなど・・・
出来れば、13時からの上映会で久しぶりにスクリーンで映画を観たいと思ったが、時間的に間に合わなかった。家に有る早坂文雄のサントラのLPが、展示物として飾られていたりして隔世の感があるが、展示物はまあ面白かった。当時の製作者の書き込みが入ったシナリオなどを観ていると当時の撮影風景が想起出来る。(以前NHKで、宮川一夫が奈良の原生林の撮影場所に行ったドキュメンタリーを観たのを思いだした)